「食べたいものを口から食べること」は人間にとって大きな喜びです。予防やリハビリテーションを地道に行い、「美味しく食べること」を楽しめる時間を少しでも長くしてもらいたい。摂食嚥下リハビリテーションでは、患者さん一人一人に合わせた食事や栄養摂取のスタイル確立を目指します。

〈間接的訓練〉

間接的訓練は基礎訓練とも言い、食物を用いずに行う訓練のことを言います。
重篤な誤嚥が認められたり、意識障害など状態が安定しない場合は直接訓練と併行して行う場合があります。

★間接的訓練の方法
1.嚥下体操(頸部、肩、口唇、舌、頬部を中心とした運動)
2.ローイング訓練(ストローを用いて、コップの中の水を強くあるいは弱く吹く。頭部挙上訓練:食道入口部を開大させるために舌骨および喉頭挙上筋群を強化する。)
3.嚥下反射誘発(アイス棒を準備し、口唇、舌、軟口蓋に軽くマッサージを行い、空嚥下を行う。)
4.発声トレーニング
5.呼吸筋の強化
6.腹式呼吸による呼吸筋の強化
7.姿勢保持
etc.

〈直接的訓練〉

直接訓練(摂食訓練)は、実際に食物を用いて行う訓練です。間接訓練に比べ、実際に食物を用いるため、嚥下諸器官がよりバランスよく動くように訓練できます。患者さんの状態や反応を観察して、安全性に配慮しながら訓練を進めていきます。

★直接的訓練の方法
1.嚥下の意識化(無意識の嚥下を意識化することで誤嚥や咽頭残留を防ぎます)
2.複数回嚥下(嚥下後に1回以上空嚥下することで、咽頭の食物の残量を減らします)
3.交互嚥下(嚥下後、異なる食べ物を摂取することで嚥下反射を促します)
4.食事形態の調整
嚥下食のレベル
0j:嚥下訓練食品 スライス状のゼリー
0t:嚥下訓練食品 ゼリー
1j:嚥下調整食 ゼリー・プリン・ムース
2:嚥下調整食 ミキサー食、ピューレ食、ペースト食
3:嚥下調整食 やわらか食、ソフト食
4:嚥下調整食 全粥、軟飯、軟菜食
etc.

 

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